05/01/18

  アイユニット
人中心の車づくりへ転換  
速度に応じ変わる車体−−運転しやすい姿勢を考慮
近未来カーとして製作された1人乗りの電気自動車「PM」=トヨタ自動車提供
近未来カーとして製作された1人乗りの電気自動車「PM」=トヨタ自動車提供
 乗るというより着るという感覚のクルマを「モバイルスーツ」と呼ぶ。愛・地球博(愛知万博)に出展するトヨタ自動車の1人乗り電気自動車「i―unit」(アイユニット)がそれだ。従来の自動車の概念を真っ向から打ち破り、人とクルマの一体感を追求した。が、こうしたコンセプトや車体のクルマは初めてではない。同社では以前にも似たクルマが造られた。今度のアイユニットは、それらの集大成でもある。

 「アイユニットの技術開発や製造方法は、まだ全面的にくわしく話せない。販売用のクルマではなく、企業秘密の部分も少なくないため。かつての似たクルマを見ていただければ、より深く理解していただけるはず」。同社の広報担当者は話す。

 そこで紹介されたのが、4輪1人乗りの電気自動車「PM」(ピーエム)。アイユニットの原型ともいえるそうだ。先端のIT(情報技術)を介し、みんなと「であう、つながる、あつまる」という独創的なコンセプト。アイユニットと同じく「パーソナルモビリティー」という。03年の東京モーターショーで披露されたが、非売品。

 まず、デザインがアイユニットによく似ており、PMをベースにしたことが一目瞭然(りょうぜん)だ。ただし、アイユニットがオープンカーなのに対し、PMには上下に開閉する全面ガラス張りのウイングドアがつく。そして、速度に応じて車体の高さと長さが自由に変わるのも、アイユニットとそっくり。高速時は車高が低く、乗降の際は車高が最も高い。PMの全長も1・75〜2・65メートル、全幅1・46メートル、全高1・21〜1・85メートル。

 さらに、簡単操作のドライブコントローラーも同様に備え、アクセルやブレーキ、ハンドルはない。レバーを前に倒せばアクセル、後ろに引くとブレーキ、ダイヤルの回転でハンドルの役を果たす。また、左右の後輪にアイユニットと同じホイールインモーターを採用。後輪を一つずつ独自に動かせ、両輪同時のスリップを防ぐ。

 「その場で回転したい時は回転モードに切り替え、ダイヤルをフルに回す。すると前輪の切れ角を左右別々に制御し、二つの後輪がともに逆回転する。その場でクルリと回れ、どこでも小回りが利く」と広報担当者。

 ドライブコントローラーを最初に備えたのは、トヨタ自動車とソニーが共同開発した4輪の電気自動車「pod」(ポッド)。01年の東京モーターショーで披露されたが、売られていない。また、ホイールインモーターの最初の採用車は、00年に発売された4輪電気自動車「COMS」(コムス)だ。ともに当時の先端技術で、自動車業界でも大いに注目された。

 「集大成のアイユニットには、今まで開発された近未来カーの先端技術やデザインがそろっている。それぞれが当時より進化し、アイユニット独自の新しい技術とデザインに磨き上げられた」。アイユニットの製作責任者を務めるトヨタセンター統括主査の加藤喜昭さん(50)は、近未来カーに思いをはせる。

 万博でのアイユニットのコンセプトは「人とクルマが融合することにより、人間の可能性を限りなく広げてゆく」という内容だ。
電気自動車
 電気モーターを原動機に用いた自動車。搭載蓄電池の電力でモーターを回し、電圧の制御で速度を変える。1873年にイギリスで製造された4輪トラックが世界最初といわれる。86年に登場したガソリン自動車より歴史が古い。構造が簡単で小型のうえ、大気汚染や騒音などの公害も少ない。駆動方式を除けば、ガソリン自動車と基本的に同じ構造だが、充電に時間がかかることやパワーがやや劣るのが難点。ガソリン自動車の普及で衰退したが、公害問題が起きた1960年代に復活。現在はガソリンと電気の併用のハイブリッド車などに活用されている。
【文・安間教雄】
てくてくテクノ

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