04/11/23

  薄型デジカメ
設計部門と連携プレー  
ボディー1.7センチ実現に、製造工程も変革
設計図やデザイン画などをパソコンで描くキャドの前で、デジカメなどの設計に当たる社員=岐阜県美濃加茂市のソニーイーエムシーエス美濃加茂テックで(同社提供)
設計図やデザイン画などをパソコンで描くキャドの前で、デジカメなどの設計に当たる社員=岐阜県美濃加茂市のソニーイーエムシーエス美濃加茂テックで(同社提供)
 岐阜県美濃加茂市のソニーイーエムシーエス美濃加茂テックは、デジタルカメラの製造拠点。昨年11月発売の「DSC―T1」に続き、今年10月からは改良型の「DSC―T3」の生産に大わらわ。以前のようなベルトコンベヤー方式ではなく、1人で何工程も取り組むセル生産方式。男女の従業員がさまざまな道具や機械を使いながら、1台ずつ作り上げていく。

 T1とT3はともに厚さ1・7センチ余の薄型ボディーで、2・5型のモニター大画面、そして510万画素という高画質。それぞれが新しい技術開発とあって、製造工程でも多くの変革が求められた。製造部統括部長の大塚茂樹さん(46)が話す。「今まで何種類ものデジタルカメラを生産してきたが、今度のタイプは従来にない超薄型。既存の製造方法では役に立たず、全く違った発想で取り組んだ。基本的にはゼロベースからの出発といっていい」

 その代表例が、初搭載の折り曲げ式ズームレンズ。これまでは全長2センチ余の直線型だった。しかし、カメラ本体の厚さを1・73センチに薄めたため、体内に収まらず、折り曲げ式を編み出した。レンズ11枚や光を直角に曲げるプリズムなどを内蔵。ズームレンズの真ん中を直角に折り曲げ、奥行きは1センチだ。

 が、レンズ11枚やプリズムを正確な位置に設置しないと、画質が低下する。ピントがずれることも少なくない。このため、画質を落とさないことを必須条件に、レンズの位置を確かめる装置を創作。設計者の期待通りに正確な折り曲げ式ズームレンズを完成することができた。

 「設計者の説明を聞き、薄型デジカメの精密装置をいかに作るか、製造技術の知恵を出し合った。かつてない薄型のため、それに合わせたコンパクト化で、随分と苦労を重ねた」と大塚さん。

 素子の基板同士をつなぐ連結器・コネクターの廃止も、その一つだ。カメラ本体の狭い内部は、複雑な装置や部品を数多く収めて超過密状態。それぞれが1ミリ以下の単位でコンパクト化を求められ、各担当者らの調整が何回も繰り返された。「その部品をあと0・5ミリだけ、小さく出来ないか」「これ以上は小さく出来ないよ」。そんなやり取りが頻繁に行われ、争いも絶えなかった。

 そこで10カ所ほどのコネクターのうち、数カ所の採用を中止。基板同士をハンダ付けで直結し、1個所当たり約0・5ミリの小型化に貢献した。設計と製造の担当者の連携プレーの結果だった。また、内蔵する多くの装置や部品が超小型のため、いかに正確に仕上げるか難しかった。あまりの小ささに常備道具が使えず、新しく自前で作り出したケースも少なくない。

 「企業秘密で具体的に話せないが、製造部門はかつてないほど高度の技術を要した。特に、小さいと言って精度を落とせないのが厳しかった。何度も試行錯誤の末、やっと設計通りに出来上がった時のうれしさは忘れられない」。製造責任者の大塚さんの言葉に実感がこもる。

 製品開発に本体の新技術を伴うのは当然だが、同時に製造技術も不可欠。せっかく斬新な製品を設計しても、それを作る技術がなければ製品にはならない。いわば、車の両輪というべきか。
デジカメの出荷台数
 カメラ映像機器工業会のまとめによると、昨年1年間では02年より約1886万台増の約4341万台。前年比76・8%増という驚異的な伸びで、デジカメ市場が急拡大したことを示している。また、今年の出荷予想は03年より1749万台多い約6090万台を見込む。これは03年比40・3%増で、伸び率が鈍化するものの、数量的には引き続き急拡大するとの見通しだ。そのうち、国内出荷が03年比11・6%増の約942万台と鈍くなり、輸出は同47・2%増の約5148万台としている。
【文・安間教雄】
てくてくテクノ

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