| 04/11/16 |
| 薄型デジカメ | |||
| ■2 | 総合力で限界に挑戦 | ||
| 光を90度転換させる、折り曲げ式レンズ | |||
特に驚かせたのが薄さ。510万画素では業界で最も薄く、既存のソニー製品の半分近くだったので無理もない。「これほど狭いスペースに、510万画素という高画質の撮影装置を収めるわけだ。メンバーの気持ちは痛いほど分かった。でも、従来の製品の延長線でないものを目指したので、無理を承知で推し進めた」。プロジェクトチームのリーダー・野田康さん(43)は振り返る。 しかし、いったん決められた以上、全員で取り組まなければならない。しかも、これだけコンパクト化されても、性能や機能を下げるわけにはいかなかった。つまり、妥協しないことがメンバー全員の思いだったのだ。約120点の部品や装置をいかに1ミリでも小さく作るか、一心不乱の研究が始まった。 最も苦労したのは、やはり薄型化だった。既存の半分近くとあって、それまでの技術はほとんど役立たなかった。改良ではなく、ゼロからの出発といってよい。とにかく、全く新しい発想の研究が求められた。グループごとのブレーンストーミング(創造的集団思考法)を何日も続け、いかに薄くするか、徹夜の議論を繰り返した。 「職場だけでは良いアイデアが浮かばないから、散歩や魚釣りなどに出掛けて考えた人もいた。そこでひらめいた技術をもとに、製品化したケースもある。まさに、みんな全身全霊を打ち込んだ」と野田さんは苦しかった日々を思い起こす。 が、コンパクト化が一気に進んだ。本体内で動かすプリズム式ズームレンズは代表例。レンズから入る光を高屈折ガラスの高精度プリズムで90度転換させる“折り曲げ式レンズ”だ。以前のようにレンズを本体の前方へ出させず、3倍のズームが可能になった。それまでのレンズより、奥行きが半分以下の1センチに縮まり、薄型化に大いに貢献した。 超薄型バッテリーの新開発も貢献の一つだ。インフォリチウムTタイプで、厚さが従来の半分以下の5・3ミリ。バッテリーの残量が表示でき、蓄電容量も大きい。また、素子の基板同士をつなぐコネクターの使用を中止。1ミリ以下ずつで、何カ所ものコンパクト化に役立った。さらに、本体ボックスの素材を薄くするには、強度の高いステンレスが最適だが、使ううちに汚れが目立つ。そこで、表面への特殊なコーティングを開発し、ステンレスの採用を実現させた。 「同じタイプに比べると、3倍も大きなモニター用液晶画面などを搭載した。その分だけでも、他の装置や部品の薄型化に大きなしわ寄せとなった。これ以上薄く出来ないという場面に何度も出くわしながら、不可能を可能にしてきた」と野田さん。 もはや技術力だけでは実現困難というような限界に挑み、精神力を含めた総合パワーで薄型化に成功した。 |
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| カメラ業界 | |||
| デジタルカメラの普及に伴い、従来のフィルムカメラメーカーで組織していた日本写真機工業会が02年7月に解散した。同時に、フィルムカメラとデジタルカメラの両メーカーが一緒になり、新しくカメラ映像機器工業会を設立した。メンバーは日本写真機工業会の会員だった多くをはじめ、家庭電器や光学機器、ソフトウエアなどのメーカー計51社。これまでのフィルムカメラメーカーの多くも、デジタルカメラを製造。00年にはフィルムカメラの販売台数を上回り、現在では3倍に増えている。 | |||
| 【文・安間教雄/写真・小林理幸】 | |||
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