
100分の1ミリの精度が要求され寸法の測定に注意を払う
企業の技術者研修を行う雇用・能力開発機構の中部職業能力開発促進センター(愛知県小牧市)が、未就労の若者を対象に新たな研修課程「デュアル・システム訓練」を導入して1年余り。ニートやフリーターなど、厳しい雇用環境に立ちすくむ若者たちに「ものづくりの魂」を伝授して、社会に送り出す試みは、順調な滑り出しだ。
新課程は、1年間で実技訓練800時間、企業実習400時間を行い、機械加工の技能検定2級相当の“即戦力”を養成する特訓コース。旋盤やフライス盤の加工を中心に、溶接やCAD(コンピューター利用設計システム)、クレーンの操作など、ひと通りの作業はこなせるようになる。
モデル事業として昨年10月に始めたところ、応募したのは15〜35歳の13人。初めはあいさつさえできないほど引きこもりがちの若者も多く、機械系の教員8人が慣れないマナー教室から始めた。「工場内では、大きな声を出すことが危険回避に必須ですから」と中川賢一・指導課長(50)。
同世代の若者が朝から夕まで一緒に規則正しい訓練生活を送り、企業で本物の製品を作る経験を積む。これが自信となり、新課程を修了した8人中、7人が就職に成功。このほか2人が訓練中に就職し、途中卒業した。
今年10月には2期生20人が入所。「技術を身につけて就職したい」と文系の大学生も受講している。当初は授業が終わるとすぐに帰宅した研修生たちだが、2カ月後の今、納得できるまで居残って機械に向き合う。ものづくりとは、そういうものだ。「親の背中を見て育ち、職業観を身につける機会が今の子供には乏しい」と出来俊司助教授(52)は説明する。
企業も、派遣任せでは社内に人材が育たないことをようやく理解し始めた。今なら、まだ間に合う。「学校を出て何年もたつと、高等教育の経験は失われてしまう。その前になんとかしたい」。トヨタ自動車の開発最前線から今春、センターに転任した大川正尋所長(62)は話す。
【写真・小林理幸/文・山田大輔】
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