02.02.24
 

■時報「ドン」

大西 嘉正
(三重県二見町)

 「ドン」と言ってもいわゆる親分という意味ではない。正午の時報の音である。
 大正時代、伊勢地方では正午を知らせる合図として大砲の空砲を発射して、大きな音をあたりに響きわたらせた。
 伊勢市の外宮近くの高倉山か虎尾山あたりの高台に大砲が設置された。正午になると、「ドーン」と一発発射され、あたりに大きな音がして、びっくりした人も多かったと聞く。
 私の家は伊勢から15キロほど離れた二見町の今一色だったが、この音を聞くことができた。しかし、離れているせいか、よく気をつけていないと聞こえないこともあった。
 大正末期、私が小学校3年生のころ、昼ごろになると、大人たちがよく「もうドンはなったか」と私に聞きにきたことを覚えている。
 時は流れ、昭和の時代になると、時報は大砲に代わってサイレンで知らせるようになった。
 このドンという音は、私の少年時代の懐かしい思い出としていつまでも私の記憶に残っている。


《毎日ペンクラブ会員》




トップへ戻る